12月になったので、わたしの12月の話をひとつ。

1年の中で、12月が1番好きな月だ。クリスマスがあって、我が家はケーキとチキンとピザとシャンメリーがお決まりのメニューで、小さい頃から大好きだった。もう甘い飲み物は受け付けない年齢になってしまったけど、クリスマスだけはシャンメリーを飲みたくなってしまう。

 

クリスマスが明けると、一気に1年の終わり、って感じがテレビとか街の雰囲気とかから感じられて寂しくなるのだけど、それも結構好きだった。

 

12月31日は、わたしが1年で1番好きな日。自分の誕生日よりも、好きな日。

こたつでみかんとかお餅とか好きなものを食べながら、紅白とガキの使いを行ったり来たりするのがなによりも楽しかった。お蕎麦に1番大きなかき揚げを入れてもらって、おつゆでひたひたにして食べるのがなにりよりも好きだった。お蕎麦は別に好きでも嫌いでもないけど、12月31日だけはお蕎麦が大好きになった。

 

12月31日と同じくらい好きで、大好きで、居なくなってほしくなかったのが、母親だった。

 

考え方が古い人で、頭が硬い人だった。安定ばかりを求める、わたしとは正反対の人だった。この世界の誰よりも、わたしのことが大好きな人だった。

 

12月31日に母親がくも膜下出血で倒れた。

その日から一度も家に戻ってくることなく、母親は死んでしまった。

 

どうして神様は1年の中でわたしが1番好きな日に、わたしが1番好きな人を遠くに連れてってしまうのだろう。わかってやっているのかな。そんなことがあるとするなら、もはや神様なんていないのかもしれない。

 

ママがいない世界は、わたしが生きるにはあまりにも自由だった。ママがいなくなることが、わたしには自由を意味していたのだけど。

 

それでもいなくなってほしくなかった。自由なんていらないから、わたしが死ぬまで死んでほしくなかった。大好きだった。